有肺類柄眼目の分類においては、生殖器の構造が重視されている。しかしながら、雄性生殖器の諸器官の相同性については様々な説があり、どの解釈を採用するかによって異なる分類体系が提唱されている。本研究では、柄眼目の新たな高次分類体系の構築と生殖器系の進化過程を明らかにすることを目的として、1）28SrRNA遺伝子を用いた分子系統解析および2）生殖器系の構造の再検討を行った。特に、分子系統解析の結果をもとに、形態形質を見直した。その結果、これまで提唱された分類体系は支持されないことが分かった。また、これまでは結合組織として見過ごされて来た生殖器の微細な構造が系統推定に重要であることも分かった。マイマイ類およびベッコウマイマイ類を中心に、最新の研究成果を紹介する。

Rei Ueshima: Molecular phylogeny and morphological evolution of genital system in stylommatophoran land snails.