トゲウネガイ属はインド-西大平洋に分布する小形のニッコウガイ科二枚貝である。我が国か
らはトゲウネガイ、オオトゲウネガイの2種が知られている。このほかフィリピンに1種、紅
海から西ポリネシアにかけて1種がいる。これら4種の分類を再検討する。
Quadrans Bertin, 1878トゲウネガイ属
模式種:Tellina gargadia L., 1758(後次指定 Dall, 1900: 1013)。套線湾入は前閉殻筋痕に達する。
Quadrans parvitas Iredale, 1931トゲウネガイ
Tellina minor Bertin, 1878, non Jeffreys, 1863は異名。殻後部に3小放射棘列。斜めの彫刻はな
い。日本で充てられていた。Tellina spinosus Hanley, 1844は明瞭に別種。房総半島、能登半島
以南、ミクロネシア、ニューカレドニア、オーストラリア東岸、マダガスカル。
Quadrans gargadia (Linnaeus, 1758) オオトゲウネガイ
本属中では最大の種。殻後部に1小放射棘列。殻表に細かい斜めの彫刻。奄美大島以南、北
東オーストラリア、ココス・キーリング諸島。
Quadrans spinosus (Hanley, 1844)ルソントゲウネガイ(新称)
完模式標本(単一模式)BMNH1986093、フィリピン (Ticao Id.)。殻後部に3小放射棘列。斜
めの彫刻はない。トゲウネガイより大きく、殻高が高い。模式標本しか知られていない。
Quadrans sericatus (Melvill, 1898)ヤサトゲウネガイ(新称)
Tellina inaequalis Hanley, 1844, Tellina bougei
Sowerby, 1909は異名。殻後部に2小放射棘列。殻表
に細かい斜めの彫刻。トンガ、ニューカレドニア、ソロモン諸島、スリランカ、紅海。
Matsukuma, A.: Genus Quadrans in the Indo-Pacific Ocean.