沖縄トラフの化学合成生物群集に棲息する軟体動物の分類学的再検討 佐々木猛智゜(東京大学総合研究博物)・奥谷喬司(海洋科学技術センター)・藤倉克則(海洋科学技術センター)

 1988−2002年に海洋科学技術センターの調査航海によって沖縄トラフの化学合成生物群集から採集された軟体動物の分類学的再検討を行った。調査海域は、南奄西海丘、伊是名海穴、伊平屋海嶺、第四与那国海丘、鳩間海丘、黒島海丘の6カ所である。腹足類では、フネカサガイ科のLepetodrilus属, ハイカブリナ科のProvanna属の種が特に個体数が多い。その他、エンスイカサガイ科のBathyacmea属の数種、ニシキウズガイ上科のIheyaspira lequios, Cantrainea jamsteci, Margarites ryukyuensisが目立った構成種である。スカシガイ科のPuncturella属の2種、シンカイフネアマガイ属Shinkailepasの1種、エゾバイ科のEosipho属なども化学合成生物群集に固有の分類群であるが個体数は少ない。二枚貝類では、イガイ科のシンカイヒバリガイ属Bathymodiolusの種が卓越し、オトヒメハマグリ科のシロウリガイ属Calyptogena、オトヒメハマグリ属Vesicomyaの種が採集されている。

Okutani, T., Sasaki, T. and K. Fujikura: Taxonomic revision of molluscs from chemoautosynthesis-based biological community in the Okinawa Trough.