かつて北海道において、Assimineidae カワザンショウ科の貝類は従来、Assiminea septentrionalis
Habe, 1942 テシオカワザンショウ1種のみが分布しているとされてきた。しかし、筆者らの北海道太平洋岸(オホーツク海も含む)における最近の調査の結果、テシオカワザンショウの他にも、本州にも棲息しているカワザンショウや未記載種の''A..''
sp. 3 アッケシカワザンショウ、''A..'' sp. 4 ポロトカワザンショウ、''A..''
sp. 5 チョウブシカワザンショウなどが見出され、少なくとも5種が棲息していることが明らかになった。その結果、従来北海道全域に棲息するとされていたテシオカワザンショウは、主に枝幸郡浜頓別町クッチャロ湖などの道北部でのみ棲息していることが明らかになった。また、特にポロトカワザンショウとチョウブシカワザンショウは、それぞれ厚岸郡浜中町幌戸沼、中川郡豊頃町長節湖でしか採集されておらず、当地付近の固有種の可能性が高く、保全学的に重要である。さらに、ロシア・サハリンにおいて''A..''
sp. 6 アッケシカワザンショウ近似種が採集されたので報告する。また、北方領土・択捉島でも調査を行ったが、同島にはカワザンショウ科の棲息に適したハビタットが存在しないため、おそらく同島にはこの科は分布していないと考えられる。
Suzukida, K., Fukuda, H., Kuwahara, Y. & Mukai, H.: A revision of the species previously identified as ''Assiminea'' (Caenogastropoda: Assimineidae) of the Pacific coast from the Kanto district to Sakhalin (2) Hokkaido, the Kuriles and Sakhalin.