インド洋の熱水噴出域の化学合成生物群集から発見された腹足類の新種 奥谷喬司(海洋科学技術センター)・佐々木猛智゜(東京大学総合研究博物館)・橋本 淳(長崎大学)
インド洋の熱水噴出域に棲息する化学合成生物群集は、海洋科学技術センターの「しんかい6500」によって2001年に初めて発見された(Hashimoto et al., 2001)。軟体動物は、シンカイヒバリガイ属Bathymodiolusの1種、B. marisindicus Hashimoto, 2001のみが記載されていたが、分類学的研究の結果、数種の腹足類が棲息することが明らかになった。そのうち今回は (1) ワタゾコシタダミ科SkeneidaeのBruceiella属に属する新種、 (2) ハイカブリニナ科ProvannidaeのDesbruyeresia属に属する新種、 (3) 同じくハイカブリナ科のAlviniconcha属に属する未同定種(本種はマリアナ海溝、ラウ海盆、北フィージー海盆に分布するA. hessleri Okutani and Ohta, 1988に類似する)、 (4) コロモガイ科CancellariidaeのAdmete属に属する新種、について報告する。 その他、Neomphaloideaに属すると思われる奇妙な腹足類が採集されているが、本種はAnders Waren博士が研究中である。
Okutani, T., Sasaki, T. and Hashimoto, J.: New species of gastropods from chemoautosynthesis-based communities in the Indian Ocean.