サハリン島(ロシア共和国サハリン州)は北海道の北に位置し,南北1000km以上に達する細長い島である.サハリン島の生物相は,ユーラシア大陸系種と日本以南の南方系種の侵入により形成されたと考えられ,動物分布境界として八田線,植物分布境界としてシュミット線という有名な生物分布境界が提案されている.サハリン島生物相調査は,千島列島の生物相調査(IKIP:
国際千島調査)に引き続き,アメリカのワシントン大学との共同調査「サハリン島の生物多様性に関する研究」として,2001年から3年計画で実施継続されており,対象となる主な生物は,植物,魚類,昆虫,貝類である.
2002年はこの調査の中間年にあたり,調査の概要,経過および,得られた知見に関する若干の報告をおこなう.
Kuwahara, Y. & Katakura, H.: Studies of the Biodiversity of Sakhalin Island: a progress report.