岡山県瀬戸内海沿岸における注目すべき海産貝類 (予報)
森 千恵°・鈴木田亘平・田牧 愛・福田 宏(岡山大学農学部水系保全学)

現在、岡山県瀬戸内海沿岸の海産貝類相の調査を進めている。児島湾湾口部周辺(水深約1m〜15m、主に砂泥底)でドレッジした結果、優占種はヒメカノコアサリであったが、多数の希少種も採集された。例えば、和田他(1996)が希少性評価を行ったウミヒメカノコ、イリエツボ、ヒロオビヨフバイ(生貝)、ウネハナムシロ、オリイレボラ(生貝)、スクナビコナトクサ、イトカケゴウナ、コマキモノガイ(生貝)、ツマベニカイコダマシ(生貝)、オキナノエガオ、フジタニコハクノツユ、マツイガイや、従来瀬戸内海から報告例の少ないキヌツヤイウソコハク、エバラクチキレ(生貝)なども得られた。また、日生町沖の底引き網(シタビラメ漁)ではヒメミミガイ(生貝)、シゲヤスイトカケギリ(生貝)、寄島町からはヒメエガイの新鮮な殻皮の残った打ち上げ死殻等も得られ、予想以上に多様な貝類相が見出された。その一方で、高梁川河口や寄島町では中国からの移入種カラムシロの侵入が確認され、生態系の撹乱が懸念される。

Mori, C, Suzukida, K, Tamaki, A & Fukuda, H: Marine molluscan fauna of the Seto Inland Sea coast of Okayama Prefecture (a preliminary report).