Angustassiminea kyushuensis S. & T. Habe, 1983オオクリイロカワザンショウは、WWFJの干潟ベントスレッドデータブック(和田他、1996)によって「絶滅寸前」、福岡県のレッドデータブック(松隈,
2001)では「絶滅危惧I類」と評価されている絶滅危惧種である。最近の調査の結果、有明海最奥部の福岡、佐賀両県沿岸の数箇所と模式産地である玄界灘側の福岡県遠賀郡遠賀町遠賀川水系でのみ産出が確認された。本種の有明海における各産地の棲息密度は極めて低く、さらにヨシ原の掘削などの開発(福田,
2000; 田北他, 2000)によって棲息環境は減少している。一方、玄界灘側では、遠賀川水系ではある程度の個体数を確認できたものの、周囲の河川には全く棲息していないため、従来どおり「絶滅寸前」と判断するのが妥当である。本研究では、このように僅かに残された各産地の棲息環境の詳細に加え、本種の殻、歯舌、生殖器の形態や近縁種との識別点について報告する。
Suzukida, K. & Fukuda, H.: Distribution and habitat of the
endangered species Angustassiminea kyushuensis S. &
T. Habe, 1983 (Gastropoda: Assimineidae).