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貝類の本の紹介

干潟ベントスしたじき
(巻貝・二枚貝・カニ類・甲殻類・多毛類・その他の動物)

2020年2月10日

干潟ベントスしたじき(巻貝・二枚貝・カニ類・甲殻類・多毛類・その他の動物)
木村昭一・多留聖典・木村妙子 著 (仮説社)

生物に親しむには、まず「生物の名前」を知ることが大切である。このようなことを容易に解決してくれる教材が発行された。本誌で紹介した「干潟ベントスフィールド図鑑」の姉妹編のような、コンパクトで、しかもフィールドに持っていける画期的な生物観察教材がこれである。最も多様な生き物がいる干潟に、野外調査で持って行くハンディーな冊子はこれまでも見られたものの、フィールドで作業をしながら種類を同定できる参考資料はなかった。それが、この「干潟ベントスしたじき」で可能になったことは画期的と言わざるを得ない。わずか4枚のプレートながら、その表と裏で巻貝80種、二枚貝70種、カニ類42種、カニ類をのぞく甲殻類36種、多毛類とその他の無脊椎動物33種の総計198種のベントス(底生生物)が網羅されている。巻貝と二枚貝は木村昭一氏と木村妙子氏が、カニ類、甲殻類、多毛類とその他の無脊椎動物は多留聖典氏が担当された。この「したじき」は底生生物がほぼ実物大にカラー写真撮影され、しかも鮮明な印刷がされている。プラスチックでできているから、水にぬれても大丈夫である。一角に小さな穴があり、ここに紐を通して首にぶら下げておけば、両手を使って生物の採集や観察ができるなど、驚くほど便利に作られている。各生物の写真には説明として、和名、生息環境(ハビタット)が簡潔に表示されている。

干潟は北海道から沖縄まで全国各地にあるが、日本海側には少なく、潮の満ち干の差が大きい太平洋側には多く知られている。干潟は人間の居住地域に近いために、開発と称する行為で多くの干潟が消滅し、貴重な生き物が絶滅したり、また絶滅に瀕している事実であるから、自然環境教育を推進する意味からもこの「したじき」を活用したいものである。

子供たちの夏休み自由研究で、また大人たちの自然観察会で活用できるだろう。さらに詳細な情報を得たい時には、先に紹介をした「干潟ベントスフィールド図鑑」を併用することで、生き物に対する興味が倍加すること必至である。学校のクラブ活動や生涯学習でも一層の教育効果を上げられるだろう。これを携帯してフィールドに飛び出し、大いに利用していただきたいものである。

(紹介者:湊  宏)

出版社ウェブサイト:
https://www.kasetu.co.jp/products/detail.php?product_id=637

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