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貝類の本の紹介

The Shell 綺麗で希少な貝類コレクション303

2020年2月10日

The Shell 綺麗で希少な貝類コレクション303
真鶴町立遠藤貝類館 著(成山堂書店)

「遠藤貝類コレクション」は,大正4年 (1915) に神奈川県真鶴町に生まれた故遠藤晴雄氏が収集した約4千5百種・5万点の学術標本コレクションである。貝類コレクションの始まりは,昭和4年 (1929) に逗子開成中学在校中に恩師となる細谷角次郎氏との出会いであった。その後,昭和14年 (1939) から公立小中学校の教員,昭和31年 (1956) から4期16年の教育長を務め,その間もオキナエビスガイ類のコレクションで代表される,世界中の貝類学術標本の収集を精力的に行った。遠藤貝類コレクションの一般公開は,昭和61年 (1986) に,自宅の一部を改装し「遠藤貝類博物館」を設立したのが始まりである。昭和63年 (1988) には貝類学の普及教育に貢献したと評価を受け,「安藤為次記念賞」を受賞した。故遠藤晴雄氏は平成18年 (2006) 91歳で亡くなられたが,生前「貝類コレクション」を故郷の真鶴町に寄贈する強い意志があったことから,後に御婦人によって真鶴町へ寄贈された。真鶴町は,真鶴半島の突端に位置する「小田急真鶴ケープパレス」の撤退を受け,買い取り,平成16年6月より「ケープ真鶴」として営業,平成22年 (2010) 4月に,同施設の2階に「遠藤貝類博物館」をオープンした。

「遠藤貝類博物館」の出版物として,これまでに「1995年発行: オキナエビスガイ類: 遠藤貝類コレクション」,「2003年発行: 細谷角次郎 貝類圖絵., 細谷角次郎 絵, 奥谷喬司 監修, 池田 等 著」 (2004年ちりぼたん35号2巻58ページで紹介),の合計2冊があり,どれも専門的な出版物であり,一般向けの出版物ではなかった。同博物館として3冊目となる今回の出版物は,一般向けに出版された図書で,遠藤貝類コレクションの代表とも言える,オキナエビスガイ類の紹介 (本文Part 1),貝の魅力について十分知ることができる色彩やかたちが多様な世界の貝 (本文Part 2),博物館周辺で見られる真鶴の貝と相模湾の貝 (本文Part 3) の3部構成で,合計303種の学術コレクションが,標本写真・和名・漢字・学名と解説文によって紹介されている。本書の特徴として,Part 3では,地元の貝類について紹介されており,遠藤貝類コレクションの魅力だけではなく,貝類図鑑としても十分な価値があるところである。

図書は,ISBNコードが付与されており,書店等から購入することができる。

本書評の執筆にあたり,故遠藤晴雄氏の貝類コレクションや博物館設立の経緯等について,真鶴町立遠藤貝類博物館の山本真土学芸員にご教授いただいた。この場を借りてお礼申し上げる。

(紹介者:山崎友資)

出版社ウェブサイト:
https://www.seizando.co.jp/book/4405/

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